動物病院における人材育成の悩み
2023/02/28
最近は管理職の方から人材育成に関するご相談をよくお受けします。
これまでと同じやり方で人が育たないと感じていても、どうしていいのかわからないというものです。
こんなあるあるはないでしょうか?
言われたことはやるが、それ以外はしないし、自分で考えない
残業はしたくないという
遅刻や欠席の連絡をLINEで済ませる
正しい指導や注意でも、言い方がきついとパワハラだと言う
これらには、個人の考え方の違いもありますが、一つには世代間におけるギャップが原因で生じていることがあると感じています。管理職からの相談を受ける一方で、若手からも上司のとのコミュニケーションに悩んだり困惑しているという相談もよく受けます。
人材育成の基本的な考え方としては、「仕事人としてまた、ひとりの人間としての成長を支援し、人生を彩り豊かにする」ことが求められます。
そのためには、部下を理解し部下の役に立つ、部下の技能とやる気を正しく見極めて必要な教育をする意識で人材育成には取り組まなければなりません。
今の世代の当たり前に、察してもらえることが当たり前、教わることが当たり前、褒められることが当たり前。
今の若手の「当たり前」は、私たちの「当たり前」と随分異なりますが、まずは異なる価値観であるというところを受け入れてみるところからスタートしてみてはどうでしょうか?
世代による考え方の違い
バブル世代 1960年代の後半〜 | 時代は日本の経済が好景気であったバブルであったため、バブル世代は就職のタイミングがいわゆる「売り手市場」でした。そのため、バブル世代は「働くこと」の優先順位が高いため、業務外での付き合いや接待などを積極的に行うという特徴があります。 |
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就職氷河期世代 1970年代〜 1980年弾の初頭 | バブル崩壊後に訪れた不況の時代のことを指します。バブルが崩壊すると、それまで超売り手市場であった就職状況は、有効求人倍率が大幅に低下する自体に発展しました。そのような状況の中で、就職をすることが難しかった世代のことを「就職氷河期世代」と呼びます。現在もこの世代に対する補償や対応が社会的な問題になっています。 |
つくし世代 1980年代後半 | つくし世代は「尽くし世代」から来ている言葉であり、他の人に喜んでもらうことや他人の良いところを評価することなどを求める世代です。 |
プレッシャー世代 1980年代 | ゆとり世代と就職氷河期の間です。プレッシャー世代は、戦後最大の不況とも呼ばれた時代に生まれた世代であり、大手企業の倒産やリストラクチャリングなどが注目されたタイミングです。そのため、プレッシャー世代は多くの経済的、社会的なプレッシャーを感じている世代です。 |
ゆとり世代 1987年〜2004年 | 一般的に「ゆとり教育」と呼ばれる教育を受けた世代のことを指します。さとり世代は、ゆとり教育が見直され始めたゆとり世代の後半に生まれた世代です。 |
さとり世代 1980年代後半〜 2000年代初頭 | 大きな目標や夢などのために行動するのではなく、現実的に必要最低限の生活を求める傾向がある世代のことを指します。一般的に育ってきた環境が不景気だったことから、社会の現実を「悟っている」ということからさとり世代と呼ばれています。 |
Z世代 1990年代後半〜 2010年代初頭 | スマートフォンが普及しているタイミングでもあるため、よりインターネットや電子機器が身近にある中で育ってきているため、「真のデジタルネイティブ」とも呼ばれています。また、Z世代はSNSにも多く触れてきている世代であるため、購買行動や消費意欲がそれまでの世代とは更に異なると言われています。 |
諸説ありますが、年代により様々な呼ばれ方がしています。
欧米ではX世代(1965-1976 46-57歳)、Y世代(1977-1995 27-45歳 ミレニア世代とも)、Z世代(Z 1996-2012 11-26歳)と言われていますね。
2022年現在では、世界の人口77億人の32%をZ世代が占めています。日本では少子高齢化が進み若い世代が多くはありません(日本でのZ世代 15%)が、世界ではZ世代が消費の主役になっているため、多くの企業がマーケティングの対象としてZ世代に注目しています。
そんな世代の仕事に対するスタイルは、効率を重視する、指示に忠実に従う、プライベートを重視する、自己実現の意識が高いと言われています。
上司から見ると、こんなふうに見えるかもしれませんね。
効率を重視する▶︎自分で考えず、答えを聞く
指示に忠実に従う▶︎与えられたこと以上のことには取り組まない
プライベートを重視する▶︎自分の時間を使って勉強しない、会社主催の飲み会は参加しない
自己実現の意識が高い▶︎自己主張する
動物病院における人材育成
時代背景、育ってきた環境などによって、個人の価値観はさまざまです。
多様化が求められている現代では、それらを受け入れながら、組織で個人の成長のために教育を行うことが求められています。
そのような背景から現在注目されているのが、YahooやGoogleなどで取り入れらている1on1ですね。
1on1は、人事評価面談とは異なり、部下の成長支援のためにさまざまなスキルが求められます。(1on1に関しては、人材育成で話題の1on1、動物病院でも可能!?の記事で、詳しく述べているので、そちらを参考にして下さい。)
特に求められるのは、上司の対話力ではないかと思います。それには、日頃から部下を観察することやコミュニケーション能力が必要です。
動物病院でのキャリア支援
動物病院での人材育成での、もう一つの課題は上司が部下を育てる時間がないというものではないでしょか?
一般の会社と異なり、多くの管理職は、プレイングマネージャーとして、現場の仕事と管理職の仕事をこなす状態です。自分の現場の業務に追われる中で、ピープルマネジメントで期待される部下育成まで時間を取れないことが多いのではないでしょうか?
キャリア支援の中で多い相談一つに、職場の人間関係に関するものがあります。その場合は、他人に問題がフォーカスされていて、個人の課題に向き合えていないことがあります。また、同じように、後輩育成に悩む上司の方も、他人(この場合部下)に問題がフォーカスされていて、自分ごとの問題として扱えていないということもあります。
他人の行動を変えたいなら、自分の行動を変えるということが言われますが、この原点は行動学にあるなと思っています。
スキナーのオペラント条件付けや陽性強化法というと、イメージしやすいと思いますが、こちらが望む行動強化するというとわかりやすいかなと思います。
動物の場合は、報酬ありきでの経験ですが、人の場合には、言葉で行動を変えることができます。1on1など部下との面談では、経験ある上司が部下育成に対話を持って取り組むことで、部下の成長に繋げることができます。
SMILE相談室でのキャリア支援
2022年は、キャリア支援の輪を広げたいとハラスメントの相談窓口としてSMILE相談室を立ち上げました。2023年の4月からは、SMILE相談室でキャリア面談のサービスも開始します。
それは、人材育成に悩みながら、部下育成の時間が取れない、また個々が気軽に相談できる環境を作ることで主体的なキャリアが歩めるのではないかなと思ったからです。また、人材育成に悩む管理職支援として、1on1の研修など、より現場で実践的な人材育成に取り組んでいただけるサービスにも取り組んでいく予定です。
ご興味のある方は、下記SMILE相談室からお問い合わせください。