動物病院で後輩育成に悩んでいる方必見!-人の心の成長プロセスは-
2021/08/23
キャリア支援をしているなかで、後輩育成に悩む方の相談をお伺いすることが少なからずあります。
私自身も後輩育成に悩むことが多くありましたが、自身の経験に基づく助言になることが多く、結果が出ない時にはこのアドバイスで良かったのかなと悩むことも。
キャリア形成の学びの中で、人の心の成長プロセスを知ることができ、人それぞれ課題や学びは段階によって異なると気付きました。また、その気付きは単に自身の経験に頼る助言ではなく、必要な支援を知ることになりました。
目次
人の心の成長プロセス
私たち人のこころは、依存▶︎自立▶︎相互依存というプロセスを経て成長していきます。
人が何か心に問題を抱える時、そのほとんどが依存の問題もしくは自立の問題として分析することができます。
依存のステージにいる人は自立のステージへ、自立のステージにいる人は相互依存のステージへと上がるようにしていくことが、問題を解決していく方向性になります。
それでは、各ステージについて説明していきますね。
依存のステージ
自分では何もできない状態
なんとかしてもらいたい!
何かを始めるときは、この依存の状態からスタートします。
例)
人間(赤ちゃん) | 自分では何もできないので、お母さんにお世話をしてもらう |
習い事を始める | 最初は何もわからないので、先生の指示に従う |
仕事を始める | 新入社員は仕事内容、会社のルールなどがわからないので、先輩に仕事を教えてもらう |
つまり、「主導権を誰かに渡している状態」であり、相手次第になってしまい、自分ではどうしたらいいかわからないという状態です。
受け取りたいけど受け取れない、自分には与えることができないという状態
自分には何もない
依存状態の人は「自分には何もない」と思っているため、相手に与えられるものが何もないと感じます。その気持ちから、受け取ることに対しても、恐れや不安が強くなり、いくら与えてもまだ足りないと感じるようになり、相手にどんどん求めてしまうのです(これが不満感になります)。
段階を追って不安や恐れの感情が強くなり、無価値観、孤立への恐れ、不満、罪悪感、怒りなどの感情が非常に強くなるため、感情に振り回されるようになります。
結果、自分に自信がない状態となり、自分の欲を相手に要求するだけの状態になります。
被害者意識が強くなる
相手が悪い
依存が強いと、不満感が強くなり、相手を責めることになります。
自分のルールを正論として、相手を加害者扱いしてしまうのです。
周りに振り回される他人軸の状態
依存ステージの最大の問題
自分がない状態なので、相手の意向にどんどん振り回されてしまいます。他人軸の状態だと、相手に執着したり、共依存の状態になったりしてしまいます。
例えば、彼氏に嫌われたくないから、彼氏に必死に合わせたり、なんでもいうことを聞いたり、嫌だけど我慢をしたりといった行動をするようになります。彼氏を例に取りましたが、仕事場でも同じような対人関係になやんでいる人もいますよね。
合わない上司がいるが、嫌われたくないので、必死に話を合わせたり、何でもかんでもいうことを聞いたり、嫌だけど我慢をして仕事をするという感じです。
依存ステージはとても辛い
依存ステージは、傷ついた女性の時代
依存ステージでは、
・相手に振り回される
・不安がつきまとう
・満たされることがない
・必要とされる感覚もない
・自分の存在価値を感じられない
など、とても辛い状態です。
この状態からダッシュするためには、まず自身が依存の状態にいることを理解し、他人に頼ることをやめたいと思い、自立のステージに進むことが必要です。
自立のステージ
自立にはポジティブな自立とネガティブな自立があります。
ポジティブな自立は、なんとか自分で頑張りたいとう、どちらかというと前向きな思いを伴う自立です。ネガティブな自立は、誰も当てにならないから自分が頑張らねばと、依存は辛いから一人でやらなければというような、依存を抑圧している自立のことです。
特に動物病院で働く方は、依存から自立のステージへ、このネガティブな自立も多く、ここではネガティブな自立についてお話ししていきます。
一人で生きていくというスタンスを目指す状態
誰にも頼らない
依存ステージで傷ついた分だけ、自立は強くなります。
依存ステージで「あんな思いはしたくない」など、怒りに似た感情で自立している状態です。
最初は期待するが自分の守りに入る
自立したての頃は、まだ依存心が強く残っています。それが、期待を生みます。
例えば、まだ相手に要求する心が残っていて、その期待に相手が答えられていないときは、自分が傷つかないように、自分でルールを作って、自分を守り始めるのです。
競争しがちな状態
何が間違っていて、何が正しいのか、または善悪に非常にこだわるようになります。正しさや勝ち負けにこだわり、そのため相手から見ると敵意を感じることもあるでしょう。謝罪が言えなくなったり、自己防衛として相手に逆ギレをしてくることも。
攻撃力はMAXで、正論で責めるようになります。
相手を攻撃したり、否定して、自分の優位性を保とうとするのです。
自立ステージにいると起こりうる状態
ひとりで頑張りすぎている状態
抑圧
私たちは、怒りで感情を抑圧します。すると、徐々に感情が麻痺していきます。自立のステージにいる人は、怒りを溜めこんでいる状態であると言えます。
燃え尽き症候群
誰かに頼ってもダメ、一人で頑張ってもダメということから、全くやる気が出なくなってしまった状態です。感情は完全に麻痺して、何も感じられない状態です。
仕事での例
例
仕事をしていくうちに、自分のやり方を見つける。
上司の考え方は古い⇨上司や会社に反旗を翻しているような状態になる⇨結局行っても無駄だし、上司も会社も変わらないと諦める⇨もうやめよう、こんなところにいても意味がない⇨退職・転職を考える
ひとりで頑張っている自立のステージ
孤軍奮闘
自立の依存の問題
依存の抑圧
依存心を強く抑圧している自立の状態です。この状態では、何かの拍子に依存心(多くは不平不満)が顔を出します。
仕事の場合は、これだけ頑張っているんだから自分を認めてほしいなど。
自分自身を押し殺してコントロールしている状態なので、相手のことも思い通りにしたいと思ってしまいます。
自分が感情を抑圧しているので、感情的な人が苦手になったり、相手をテストしたりコントロールしようとします。
自立の自立の問題
思考だけで行動
感情が完全に麻痺し、何も感じられない状態です。人の気持ちがわからなくなり、ただ思考だけで行動する状態です。
誰のことも信用できず、常に孤立し、ひとりで頑張っている状態で誰にも助けさせません。ひとりで生きているという状態になるため、物や気持ちを絶対に受け取らないという状態になります(受け取ると依存心が出てしまうため)。
相互依存のステージ
自立ステージを抜けて、WIN-WINの関係性を手に入れるステージです。
依存時代の辛さ、自立時代のひとりで頑張ることを手放して、やっと到達します。
相互依存のステージでは、相手とお互いに認め合う関係性を手に入れることができます。
自分軸の確立
バランス
相互依存ステージで、ようやく自分軸が確立されます。
自分が持っているものを与えることもできるし、相手が持っているものを受け取ることができるようになり、尊敬し合うことができます。
依存ステージでは、話し合うと言いながら「私の要求を聞いて」と思っています。自立ステージは、「私のいうことを聞きなさい」と思っています。相互依存のステージで、ようやくお互いが対等な話し合いができるようになります。
まとめ
どうでしたでしょうか?
後輩の育成に悩まれている方には、後輩がどこのステージにいて、不満や悩みがあるのか参考になったでしょうか?
同時に、自身はどのステージにいるなと感じられたでしょうか?
私自身、勤務医時代においては、完全に自立のステージにいたように感じています。周りのサポートがなかったわけではないと思いますが、サポートをなかなか受け入れられていなかったように思います。
動物病院で働かれている方は、特に真面目に、一生懸命頑張っておられる方が多いと感じています。
そのような方に必要なのは、寄り添いであるカウンセリングではないかと思います。
個人的な考えでは、依存ステージにいる方には気付きとTeaching、自立ステージにいる方にはCounseling、相互依存ステージにいる方にはCoachingのサポートが適しているのではないかと思っています。一概には言えませんが、自立ステージにいた頃の自身には、Coachingが全く響かなかったのです。今なら、その理由がわかりますし、今なら自分に必要なのはCoachingかなと思います。