どんな組織であっても、新入社員を迎えるにあたっては新人教育はとても大切です。獣医療に必要な技術だけでなく、ともに働く仲間として組織風土などを教えていくことも必要です。新入社員は、新たな環境で期待とともに様々な不安や悩みを抱えています。SMILE相談室では、新入社員がより大きく羽ばたけるようにキャリアの視点を入れた新人研修を実施しています。

新入社員の教育において経営者の方や管理職の方が感じている課題としては、大きく２つ、今までと同じ教育体制では人が育たない、メンタル不調に陥りやすいということがあるのではないかと思います。デジタルネイティブと言われる世代、そしてコロナ禍で貴重な学生時代を送った世代では、オンラインでの授業や社会的自粛により対話能力が低下していると言われています。しかしながら、人生100年時代、少子高齢化の日本の社会においては70歳まで働くことを植え付けられている世代（今の新入社員も含めて）、自身のキャリアを早く築きたいという願望も強いと言われています。新しい環境の中で、どのようにしたら自分が成長できるのか、必死で考えているわけです。

人それぞれにキャリアの歩み方は異なりますが、焦りや不安の中にいる新入社員にとって、自分のキャリアをどのようにつくっていけば良いのかという部分に関しては、今求められるキャリアの考え方（プロティアン・キャリア）を知ることで少し先の未来を想像することができると考えています。同時に、社会人としても知っておくべきことも同時に伝えることで（コンプライアンスやハラスメントの知識など）、独りよがりにならないキャリア、自分にとっても組織にとってもWIN -WINになるキャリア形成を学んでいただきます。

 

入社まもない時期は、新入社員は、自分が成長できる環境に飛び込んだことに期待と不安を感じています。”人間関係・雰囲気がいい”ということを理由にあげているということは、自分にとって居心地の良い環境と取られていることもあります。居心地の良い環境とは、優しく丁寧に教えてもらえる、気にかけてもらえる、否定されない、叱れないということかもしれません。また、”人間関係が良い”ということを理由にしている場合は、自身のコミュニケーション能力に不安を感じていることがあり、積極的に質問したり相談できないということもあります。

そのようなことを考えると、早い段階で新人同士と管理職も含めたスタッフがコミュニケーションを取れる場を設ける、相談しやすい環境を作るということがとても重要と考えますが、環境だけでなく自分自身のレジリエンス能力を上げていくことも、今の時代に生き残るのに必要なスキルの一つです。

レジリエンスという言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、アメリカの心理学会の定義では、困難や難しい人生経験に適応するプロセスとうまく適応した結果のことであり、特に精神面、感情面、行動面の柔軟性と、外的・内的要求の調整を通して適応を行うこととされています。これらのレジリエンス能力は、後天的に獲得可能であり、日々実践することで能力が高まります。

動物医療と向き合う中では、様々なストレスがかかってきます。それを乗り越えて、自身の成長に繋げていくためにはストレスマネジメントの強化が必要だと考えています。そのような視点を伝えることで、メンタルヘルス不調の予防につながると考えています。

今回は、2時間のセミナーを２回実施させて頂きましたが、概ね満足ただけるセミナーとのことで、安堵しています。

そして、同時に就職後現在までの率直な気持ちも聞いてみました。