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人生の正午-今は、人生の何時でしょう?

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人生の正午-今は、人生の何時でしょう?

人生の正午-今は、人生の何時でしょう?

2022/08/24

忙しい動物病院の業務の中では日常に追われ、自分のことは後回し。
自分のことについて考える時間なんてない!という方は多いのではないでしょうか?

キャリア支援の中で、自身の体力的な低下やストレスからメンタル不調に陥る、また中長期的な目標が見えなくなってしまっているという相談を受けることがよくあります。そんな時は、自分がどういう状況に置かれているのかなど、客観的にみることができると解決の方法が見えてきたりするものです。

 

そこで、今回はスイスの精神科医であり、心理学者のカール・グスタフ・ユング氏の「人生の正午」という考え方についてお話ししたいと思います。

目次

    人生の正午 一生を太陽の運行に準える

    Noon of the life

     ユングは40歳を「人生の正午」と形容しました。人生を太陽の動きになぞって考え、人生を4つの時期に分けて考えたのです。 少年期、成人前期を過ぎ正午を迎え、中年期、老人期で日が沈むというものです。
     

    午前というのは、日が上昇していく時間帯、つまりは人生も「これから」という時期です。心身ともに成長し、自分を取り巻く世界もどんどん広がっていきます。これに対して午後は、日没に向けて「暮れていく」時間帯。人生では、老いていくプロセスに入っていくということです。
     

    ユングは、「人生の午前の法則を人生の午後に引きずり込む人は、心の損害という代価を支払わなければならない」。また、「午前から午後へ移行するときは、以前の価値の値踏みの仕直しである」ともいっています。人は年齢によって、体力のみならず精神にも影響を受けると考えたユングは、青年期まで続けてきた「生き方」や「行動・思考パターン」を、40歳以降も続けることにより、精神的な「損害」を受けるというふうに考えていました。

    40歳以降は、自分の市場価値を「客観的に見直し、認識し直す」ということが必要であるということです。
    午後で大切なことは「自分の内面を見つめること」だとしています。

    中年の危機

    Midlife crisis

    ユングの時代では人生の正午は40歳と捉えられていましたが、人生100年時代と言われる現代では人生の正午は50歳とも言われています。特にこの時期を、ユングは「転換期」であると捉え、「危機の時期」でもあることを指摘しています。

     

    確かに、人生の正午を迎える時、 人は「自分自身について」「これからの生き方について」 考える転換期にあると考えられます。もちろん、人によって捉え方は様々ですし、40代、50代になってから人生が花開く人もいます。 なので、一概には言い切れませんが、やはり「これから暮れていく」「人生が終盤にさしかかる」というのはどうしてもネガティブなイメージがついてくるもの。「自分のこと」としてうまく受け入れられない方が多いのも仕方ないのかもしれません。午前と同じ生き方をしていくわけにはいかない、今まではとは違う生き方をしなくては、でもどうすれば良いんだろう?実際、約8割の人が激しい混乱を経験すると言われています。

     

    これが、いわゆる「中年の危機」です。
    この「中年の危機」という言葉を生み出したのはアメリカの心理学者レビンソンですが、彼はこの時期(40歳頃)になすべき課題として下記のことを挙げています。

    • 若い時代を振り返って再評価すること
    • それまでの人生で不満が残る部分を修正すること
    • 新しい可能性を試してみること
    • 人生の午後に入るにあたって、生じてきた問題を見つけること

     

    さらに、レビンソンは、この危機的時期をうまく切り抜けられれば、よき指導者、そしてよき助言者として自立できると説いています。ユングも中年の危機を乗り越えることの意味を強調しています。


    ユングの言葉

    Jung's word

     

    『人生の正午より後には、午前中影だったところにも光が当たる。午前の昇る太陽の勢いは凄まじいが、その勢いゆえに背景に追いやったもの、影(シャドー)になってしまっていたものがある。それらをしっかり“統合”していくことが、人生の正午以降の課題である。ゆえに、深い意味で「真の個性化」は40歳以降に始まる。』

     

    まとめ

    Summary

    キャリアコンサルタントとしてキャリアの心理学を学ぶ中、自分自身の経験と照らし合わせて考えると、なるほどなと思うことがよくあります。自分が人生のどんな転機にいるのか、強みと弱みは何なのか、どう考えるのか、客観的に分析していく感じです。

     

    その中でも、ユングの「人生の正午」は、好きな考え方の一つです。それは、ユングが精神科医であり、心理学者であるという点が理論的に納得できるからかもしれません。

    私は現在40代半ば、ユングの「人生の正午」でいうと太陽が傾き、暮れていく方向を自分も歩んでいます。そう考えると、少し暗い気持ちになりそうです。しかし、それは自然の流れであり、自然の流れに逆らって生きるほうが苦しくなるのは明らかです。私はハワイが好きですが、太陽の沈む夕日はとても綺麗です。そして、この時間が好きでもあります。

    ユングは、この中年期の危機をうまく乗り越えること自体が人生を創造していくことであり、どれだけ午後の時間を深く生きられるかにつながると述べています。そのためには若い時代を振り返り、受け入れる。不満があれば修正する。可能性のあることにチャレンジする。自分の大切にしているものや価値観に気付き歩んでいくことだと思います。

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