どうする?動物病院の組織づくり-心理的安全性を理解するー
2021/09/06
2018年6月に働き方改革の法案が成立し、大企業と中小企業(多くの動物病院)では施行時期に違いはありますが、有給休暇の取得促進や残業時間の上限規制など働く環境整備がすすめられてきました。
しかし、新型コロナウイルスにより世間での働き方が変わる現在、上場企業において働きやすい環境が提供されつつあるにもかかわらず、4人に一人が離職意向を抱えており、さらに離職傾向にある人は心理的安全性が低いというデータが、ある会社の独自意識調査で出てきました。
獣医師の勤務医志向や愛玩動物看護師の国家資格などで、長く働き続けられる環境が動物病院でも求められる中、心理的安全性を理解することは組織づくりの上で、参考になるのではないでしょうか?
目次
離職傾向にある人は、心理的安全性が低い
AとBでは、どちらが心理的安全性が高いと言えるでしょうか?
一見問題がないようにおもえるAですが、心理的安全性の面から見るとBがより正解と言えるでしょう。他者からの反応を恐れず、率直に意見や指摘を言い合える状態が心理的安全性には必要です。単に、メンバー同士が仲がいいということではありません。
チーム内で誰もが臆することなく発言することができれば、意見交換が増え、お互いの考えに触れることで学びの機会を増やし、新しい視点やイノベーションが生まれる機会が増えます。結果、生産性が向上し、事業成長に繋がると考えられています。
動物病院における心理的安全性を高めるためには
心理的安全性には組織の取り組みが必要
このGoogle社での心理的安全性の発表により、様々な企業で心理的安全性を高める取り組みが行われています。特に、心理的安全性のためには対人関係における安心を提供することが何より求められます。
このような不安をなくすためには、組織的な取り組みが必要です。
その取り組みとしては、価値観や自身の考えをシェアし合う相互理解の機会を増やすことや、コミュニケーションの機会を増やし、お互いが気持ちよく仕事を行える環境を提供することです。
動物病院は忙しい現場であり、更にコロナ禍においてはコミュニケーションの場であった歓迎会や社員旅行など、社外での活動が自粛される中、スタッフ同士が業務のみの会話になってしまい、お互いの人となりがわかりにくい状況になっています。
今までと同じコミュニケーションの取り方では、心理的安全性を得るには不十分かもしれません。
動物病院での取り組み
従業員の心理的安全性を高めるために、1on 1を導入されたり、中間管理職の育成など、話しやすい環境の提供ができるように取り組まれている動物病院もあります。
心理的安全性のためには、否定されずに話をできるということが求められますが、管理職の方に余裕がない場合や自身の価値観を押し付けてしまうことになっては、この心理的安全性は確保されません。人の話を聞くということには、聞く方にも練習が必要というわけです。
キャリアカウンセリング時には、聞く方の相談にのることもありますが、自身の価値観との違いに困惑されるケースも多く、話を聞くということにストレスを感じられていることも。そのような場合には、管理職の方への支援も必要になります。
各動物病院によって、組織風土や組織編成は異なるため、何が正解かは一概には言えません。
しかし、心理的安全性が組織の生産性を上げる要因であり、離職の要因になるということを理解いただければ、なにか取り組みができるのではないでしょうか?