SMILE

動物病院でのキャリア支援-承認欲求と自己概念-

Contact

動物病院でのキャリア支援-承認欲求と自己概念-

動物病院でのキャリア支援-承認欲求と自己概念-

2022/12/05

キャリアコンサルタントが行うキャリア支援には、キャリアカウンセリングがあります。
多くの人数で行う研修などと異なり、一人ひとりにフォーカスした支援です。日本の文化的にカウンセリングを受けること自体馴染みが薄く、始めは相談者の方は”友達でもない人に何を相談するんだろう?”と思う方も多いと思います。また、”こんな個人的なこと相談していいのかな”というように、自分の悩みを相談する事柄も仕事にまつわることじゃないといけないと思われている方もいます。キャリア支援を行う中では、悩みがないと仰っていても話を聴いていくうちに、相談事が出てくることもあります。

 

相談者が何を求めて相談に来るのかと考えながら、悩みの中にどんな価値観があるのか考え、キャリア支援を行います。
どのような価値観があるのか、その視点に立ちながら相談事をお伺いするのですが、意外とご自身のことを理解しているようでも、その悩み事とが別にあるように思われていることが多いのです。

悩み事のある相談者にとっても、また後輩指導を行なっている上司や管理職が相談を受けた際に、「相談者の価値観はどこになるのかな?」という視点を持つことは、悩みの解決の糸口になるのではないかと思います。そこで、今回はキャリコン視点での「自己概念」という考え方に焦点をあてたいと思います。

自己概念

Self-structure

自己概念とは自分のイメージ

  「自己概念」とは、自分以外の他人を含めた外部からの意見や評価による「他人軸」ではなく、自分の価値観はどのようなもので、何を大切にし、さらにはどのような生き方をしていきたいのか、何を目指しているのかという「自分軸」のことです。

自己概念の形成

 自己概念は幼児期から青年期の間に最も成長するといわれています。

幼児期の2歳前後には、自分とほかの子供たちとの違いを認識しはじめ、6歳頃までには、既に社会集団の観点から自分自身を定義しはじめているといわれています。さらに7~11歳の間には、自分がほかの人にどのように認識されているかを考えはじめています。

 青年期は自己概念の重要な時期とされており、通常、残りの人生の自己概念の基礎となります。この時期に得た成功と承認の体験・経験が、成人期により大きな自尊心とより強い自己概念形成に関係してくるとされています。

自己概念と承認欲求

Self-structure & The esteem needs

 現実の自分と、自分がイメージする自分に極端なずれが生じることを、自己概念の不一致といいます。
働いているとなりたい自分、やりたい仕事、求められる役割など自分がイメージする自分とかけ離れてしまうこともあります。また、自分がなりたい姿よりも、周囲からどう思われるかというところに焦点が当てられ悩みにつながることがあります。

 

①なりたい自分に慣れずに自己概念との不一致を起こす

②求められる自分になろうと自己概念の不一致を起こす

 

②の場合には、意識が外に向かっているのかなと感じます。「自分はこうでなければならない」「こうでなければ、認められない」というような、他者に認められるために頑張っているようなイメージです。言い換えると承認欲求を満たすためであると言えるのではないかと思います。


では、承認欲求とは、なんでしょうか?
それは、「承認して欲しい」という欲求、つまり「認めて欲しい」という欲求です。「〇〇と認めて欲しい」、〇〇のところに色々な言葉が入ります。仕事においては、「“仲間と”認めて欲しい」「“リーダーと”認めて欲しい」「“獣医師と”認めて欲しい」「“正しい”と認めて欲しい」などなど。

 例えば、後輩指導に悩む上司・管理職においては、「部下を大切にしたい」という思いと「良きリーダーとして認められたい」▶︎「良きリーダーは、部下に仕事の負担をさせない」▶︎「負担になる業務をさせない」というような流れにつながることもあります。
「部下を大切にしたい」という思いからであれば、「仕事の働き甲斐を共有する」という視点もあると思いますが、ここで、「良きリーダーとして認められたい」承認欲求が働いているのではないかと考えられます。これは、組織の管理職というものの役割をどう考えるかにも通じるように思います。

 承認欲求(認められたい)という「外」に向かう意識は、私たちが社会の中で生きて行く上で重要な役割を果たしています。生まれ育った環境や文化・習慣が大人になる過程において、「社会化」という流れの中で取り入れる方向で動いています。そして、そこに生まれてくる“よし”とするモノの見方、考え方が「自己概念」ともいえます。従って、必ずしも「承認欲求という外に向かう意識」が「モヤモヤ」や「悩み」を生む訳ではありません。

承認欲求(認められたい)という欲求は、「私は、正しい」という主張の背景にある欲求でもあります。「私は〇〇と考えている、感じている。そのことを分かって欲しい、認めて欲しい」という欲求です。

どうでしょうか?
自分自身や、相談してくる後輩や同僚が「私は〇〇と考えている、感じている。そのことを分かって欲しい、認めて欲しい」と思っていると考えてみると、なぜ悩んでいるのかということも理解しやすくなるのではないでしょうか?
 

まとめ

Conclusion

 組織心理学者ターシャ・ユーリック博士の研究では、約95%の人が自己をよく理解していると思っていても、実際には10~15%の人しか、きちんとした自己認識ができていないという研究結果が出ています。自分自身のことであるにも関わらず、その「自己概念」が極めてあいまいなケースが多いということが言われています。最終的に自己認識を高めることができた人は、仕事でもプライベートでもパフォーマンスが上がり、より質の高いリーダーシップを発揮できるという結果があります。

 自己概念とは、言い換えると自分のありたい姿です。
みなさんは、どうでしょうか?自分のありたい姿がイメージできているでしょうか?周りから求められている他人軸のありたい姿になっていないでしょうか?

 もちろん、組織で働く上では自分のありたい姿だけを実現できるわけではありません。しかし、かといって自分だけの主張をすることは、承認欲求を低下させる原因にもなりかねません。必要なことは、自分のありたい姿を認識しつつ、社会や組織とすり合わせをしていくということが求められるのです。

 

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。