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少し困ったスタッフの行動。こんな時、どうしたら?

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少し困ったスタッフの行動。こんな時、どうしたら?

最近疲れている様に見える、仕事の期限を守らない、遅刻や無断欠勤が多い、一旦集中すると話しかけても反応しない、整理整頓ができない、場の空気を読めない…

最近、こういった問題行動を取る従業員の相談が増えてきており、そんな従業員に困る同僚や上司がとても多くなっています。その背景には、メンタル不調や大人の発達障害というものがある場合があります。


問題行動は従業員の性格上の問題で、会社が対処するものではないのでは?と感じることもあるかもしれません。

困ったと感じる社員に対して、どう対応したらいいのか、EAPの視点から労務管理としての対応方法をまとめました。

困った従業員のケース

個人の生活リズムや性格

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遅刻や無断欠勤、職場でボーっとするなどの問題行動は、本人の生活リズムの乱れや仕事に対する意識の問題がある可能性があります。

生活リズムは本人の問題なので、会社が対応する必要はないかもしれませんが、周囲への影響やパフォーマンスの低下を考えると会社としては、何らかの対処が求められます。その場合は、上司や同僚など周囲の従業員にサポートをお願いします。

生活上の出来事が原因にありそうな場合は、カウンセラーに繋いでもいいでしょう。

遅刻や無断欠勤に対しては、就業規則や評価制度に対応方法の基準を示しておくのが大切です。職務怠慢の場合、労働契約の不履行による解雇もありえますが、解雇には訴訟リスクや金銭的リスクがあります。リスクを避けるために、事前にペナルティの基準を決めておきましょう。

 

メンタルヘルス不調や身体の病気

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仕事のストレスや職場の問題が原因で、精神的な病気になっていることもあります。職場のパワハラや長時間労働などのストレスで、うつ病や不安障害を発症しているかもしれません。あるいは、腰痛や頭痛などの身体疾患で生産性が落ちているかもしれません。

心身の病気が原因のときは、企業の安全衛生管理上、対処が必要です。会社に産業保健師や産業医いる場合には、ストレスチェックや健康診断の結果を見ることができるので、対応をお願いすると良いでしょう。

大人の発達障害

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周りを困らせる問題行動の背景には、その人が「大人の発達障害」という精神的な特徴をもっている可能性があります。発達障害の傾向があるときは、会社や人事が中心となり周囲の従業員を巻き込みながら解決していく必要があります。

発達障害などの場合には、仕事の上で業務の指示を誤って理解したり、報告や相談をするときに話が分かりづらく支障が出ることがあります。
また職場では状況が色々と変化する中でその場で言われたことを理解し適切に返答するといった動的なコミュニケーションが求められるようになります。
そのようなスピード感があり、きちんと具体的に説明しないやり取りだと理解が追いつかなかったり、言いたいことをぱっとまとめて伝えられないという人も少なくありません。
学校では急な変化が少なく自分のペースで落ち着いてやり取りできる静的なコミュニケーションが多いため、学校生活では問題が目立たない人もいます。毎日やることが決まっているからです。
しかしそのような人でも就職してから急に困りごとが深刻になることがあります。

言葉の使い方以外にも、会話をする中で相手がどんな気持ちでいるか表情などの様子から読み取ったり、読み取った相手の気持ちを踏まえて伝え方を修正することが苦手です。
そのため例えば怒っている相手に火に油を注ぐようなことを気にせず伝えてしまうといったことが起こりがちです。
他にも会話を円滑に進めるために笑顔で応えたり共感の気持ちを態度で示すことがうまくできず、会話をしていても何となくぎくしゃくした雰囲気になってしまうこともよくあります。

単に能力として考えて対応してしまう場合には、本人に過剰なストレスがかかり2次的にメンタル不調などをきたす場合や、また周囲の人が対応に困りメンタル不調に陥る場合も見られます。

大人の発達障害を持っていると思われる人の特徴の例

  • せっかちでイライラしやすい

  • 約束時間を守れない、忘れ物が多い

  • 人と共感しない

  • 冗談やたとえ話がわからず字義通りに理解する

  • 急な予定変更に混乱する

困った従業員へのアプローチ方法

困った従業員への対処をする場合には、何が問題であっても、個人のパフォーマンス、周囲のパフォーマンスを下げている客観的事実を伝えることが大切です。人格否定にならないように、あくまでも、パフォーマンスの低下に焦点をあてて伝えましょう。

管理職から話をする場合、本人が気付いていない(と思われる)態度や見解、行動面に表れている食い違いを指摘し、気付かせることが求められます。

この様に、上司(管理監督者)が部下に対して問題を指摘し気付かせることを建設的直面化と言います。

建設的直面化の成功のための5STEP

客観的事実を記録する

  1. 観察する
    パフォーマンスの低下、気分の変化、勤務状況などについて観察します。
  2. 記録をする
    行動上の問題について観察し、事実関係を記録します。その際には、感情などは含まず、客観的事実を記録します。
  3. 準備する
    記録し、面談の日程などを調整します。
  4. 面談し、建設的直面化を行う
    面談は、あくまでもパフォーマンスの改善を目的としたものであり、問題の原因が何であるかを決定するものではありません。
    業務上の問題行動に関して事実を伝え、従業員がどの様に考えているかも話を聞く様にしましょう。その上で、改善が必要であることを伝え、期日を設けて行動が改善されなければ、会社として対策することを伝えます。
  5. フォローアップ
    初回の面談後も観察と記録を続け、面談を行いましょう。

 

面談中に、メンタル不調を疑う様な場合には、睡眠や食事などが行えているのかを確認し、会社としては、以前よりパフォーマンスが低下している、体のことが心配であり、会社としてフォローアップしていく姿勢を示す様にしましょう。メンタル不調が見られる場合には、自己肯定感が下がり、言葉に敏感になっている場合もあるため、言葉には十二分に留意しましょう。

発達障害かもしれないと迷ったときや、その従業員への医学的・心理的支援が必要だと感じた時には、会社の産業医に相談してみてください。

社員の特性や対応方法について、医学的な面からアドバイスをもらえるかもしれません。専門家の意見を取り入れることで、現場の社員との連携もスムーズになります。

病院の受診を勧めるかどうかは、障害という診断をもらうメリットがあるのかどうかを判断する必要があります。本人の意向も確認しながら、医療機関の活用も検討してみましょう。

産業医との連携がない場合には、産業保健総合支援センターなどに連絡し、助言などの支援を受けましょう。

従業員の多様性は今後ますます問題に

大人の発達障害だけでなく、対応に配慮が必要な従業員は今後増えることが考えられます。一億総活躍時代において、定年上限の引き上げや愛玩動物看護師の国家資格化、勤務医の増加など今までと異なり、社員の高齢化とともに、介護や育児との両立など社員の多様化が進むからです。

個別に対応していくだけでは、会社や人事が対応しきれなくなりパンクしてしまいます。戦略的に個別対応を進めていくにはどうしたらいいか。大人の発達障害に限らず、いろんなタイプの社員に対応できる職場を作っていく、攻めの戦略が有効です。

管理職・社員の柔軟性や対応力を上げる

会社としての取り組み

管理監督者研修や新人研修などの機会を活用して、配慮が必要な従業員に対してどう接すればよいのかを、幅広く教育していきます。発達障害傾向のある従業員を含めて、様々なタイプの従業員を想定します。

 

管理職は、産業保健の流れだけでも

  • メンタルヘルス不調者へのラインケア
  • セクハラ・パワハラ防止
  • 治療と仕事の両立
     

など、いろいろな対応力が求められています。

すべてまとめて部下への柔軟な対応力を伸ばすことで、問題社員となる社員が減り、会社全体の負担が軽減されます。労働人口減少に負けない組織づくりのために、管理職の柔軟性を上げることが重要になってきます。

 

データから気になる社員を早く見つける

会社としての取り組み

日頃から面談を実施するなど、勤怠や仕事のパフォーマンスに目を配り、発達障害の傾向や生産性の低下などの問題のある従業員のサインを見つけます。早く見つけて対処することで、問題が大きくなるのを防ぎます。

ストレスチェックで高ストレス者の割合が高いところがあれば、パワハラや対人関係など、何か原因があるかもしれません。配慮の必要な従業員は、ストレスを感じることも多く、メンタルヘルス不調になる可能性も高いです。

勤怠が乱れていたりパフォーマンスが急に落ち込んだ従業員がいる場合、発達障害や健康問題など、何かのトラブルが起きている可能性があります。本人に様子を聞き、必要に応じて会社として対処できる配慮を実施しましょう。

 

産業保健スタッフと連携する

会社としての取り組み

発達障害やうつ病の雰囲気がある社員には、産業保健スタッフに声をかけてもらいましょう。医学的な面からアドバイスできますし、従業員としても情報保護の安心感があります。

会社側は健康データやプライベートな情報が見られませんが、保健師や産業医などの産業保健スタッフは詳しい情報を使ってアドバイスできます。

産業保健スタッフから気になる従業員を報告してもらう基準や、報告後の対応方法も明確にします。管理者向けの研修内容を、産業保健スタッフに研修をしてもらうこともできます。

連携が上手くいかないときは、産業保健スタッフが対応方法について不安を感じているかもしれません。どのタイミングで気になる社員のことを会社に上げていいか分からない、伝えてしまうと従業員に不利になるのではないか、などです。社内での連携環境を整えていきましょう。

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