働きやすい組織づくりⅡ-親の介護と仕事の両立 - 覚悟と支え合いの仕組み
2025/09/28
前回は「キャリアとワークライフバランス」をテーマに、中長期的な視点での働き方を考えました。
シリーズ第2回となる今回は、誰にとっても避けて通れないテーマ、「親の介護と仕事の両立」について取り上げます。
ご相談の声から「後悔したくないから親の介護に積極的に関わりたいです。でも、短時間勤務をしたら同僚に負担がかかるし、会社にどんな制度があるかもわからないし、聞きにくいんです…。」
このように「介護に関わりたい気持ち」と「職場への遠慮や不安」の間で揺れる方は少なくありません。まず大切なのは「親の介護に積極的に関わりたい」という気持ちを、自分の中でしっかり整理することです。介護は一時的なサポートではなく、長期にわたることも多いもの。覚悟が不十分なまま始めると、ストレスで親御さん自身も、ご相談者ご自身も疲弊してしまいます。場合によってはご家庭や職場でトラブルにつながることさえあります。
介護は「できる範囲で」ではなく、「どこまでなら自分が無理なく続けられるか」を考えることが重要なのです。
そして、会社も従業員の気持ちに寄り添いながら、会社としてできることとして、介護に関わる支援方法を伝えて行く必要があります。
利用できる制度を知る・伝える
Legal Support
介護と仕事を両立するために、会社には必ず次の制度が整備されています。組織も従業員から相談があった際に、制度があることを伝えることで、介護離職の防止になります。
- 介護休業
- 介護休暇
- 所定労働時間の制限
- 時間外労働の制限
- 深夜業の制限
- 事業主が講ずべき措置
これらは就業規則を確認すれば必ずわかります。制度を「知ること」「使うこと」は決してわがままではなく、むしろ介護を続けるために必要なステップです。
きちんと情報を得て冷静に対応することが、同僚や経営者への誠意にもつながります。
中小企業では「両立支援等助成金」を利用できる場合もあります。
▶︎ 厚生労働省 両立支援等助成金
動物病院での具体的な場面
Examples of animal hospital
動物病院で親の介護を担うとき、こんな状況が考えられます。例えば、動物病院で働く看護師さんが親御さんの介護のために短時間勤務を希望したとします。
- 診察の補助や入院動物のお世話を同僚にお願いする必要が出てきます。
- 残業や休日出勤が難しくなり、他のスタッフがシフトをカバーすることになるかもしれません。
- 飼い主様への説明や電話対応など、細やかな仕事の一部を別の人が担うことになります。
こうした変化は、同僚にとって「当然」ではありません。負担が増えることへの不安を和らげるためにも、以下の点をきちんと伝えられると良いでしょう。
- どのくらいの期間、勤務の変更が必要なのか
- どの業務を同僚にお願いする必要があるのか
- その負担を会社としてどうカバーするのか(報酬や助成金の活用など)
私自身の経験
My own experience
実は、私自身も母の介護を経験しました。母は先天性ミオパチーを抱えており、介護の先が見えない日々が続きました。子育てと異なるのは、時間とともに少しずつ楽になっていくのではなく、むしろ負担が増えていくことが多いという点です。
その中で私が学んだのは、「自分一人で頑張りすぎないこと」。
公的なサービスや地域の資源を活用することは、決して甘えではありません。むしろ、介護を続けていくために必要な工夫なのです。
そして、自分に余裕があると、母に対しても優しく接することができます。逆に余裕がなくなると、どうしてもイライラしてしまい、結果的に介護を受ける側を苦しめてしまうこともあります。だからこそ、「自分の心と体を守ること」が介護においては本当に大切なのだと、身をもって感じました。
組織へのメッセージ
Support for employees
組織にとって、介護との両立支援はこれからますます重要になります。
- 制度や助成金を活用することで、スタッフが安心して介護と両立できる
- 短時間勤務やシフト調整を受け入れることは、チームの信頼感を高める
- 「介護があっても働ける職場」であることが、人材定着や採用の強みになる
つまり、介護支援は個人を守るだけでなく、組織の将来を守る取り組みでもあるのです。
まとめ
Summary
親の介護と仕事の両立には、
- 自分の覚悟を明確にすること
- 制度を知り、遠慮せず活用すること
- 同僚・上司との率直な対話を続けること
この3つが欠かせません。
そして組織にとっても、スタッフが安心して働き続けられるよう支援することは、経営の安定につながります。


