第42回日本獣医師会 獣医学術学会年次大会に参加して
2025/01/28
第42回日本獣医師会獣医学術学会年次大会のシンポジウム「すべての獣医師が活躍できる未来ある職場づくり」をテーマに講演する機会をいただきました。
獣医師の職域は、小動物臨床、産業動物、公衆衛生などと多岐にわたります。様々なフィールドで活躍する獣医師が集まり、色々学びのある時間になったので、振り返りとともに皆さんに感じたことをシェアしたいと思います。
獣医業界で考える課題
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今回のシンポジウムでは、「すべての獣医師が活躍できる未来ある職場づくり」をテーマとして、「獣医師の現状と将来に向けた展望」「獣医師の就業環境に関する現況調査(2024)報告
」から始まりました。ペット数や、獣医学生の女性の数の増加、就業している獣医師へのアンケート結果など、獣医師を取り巻く状況を把握できる内容でした。
どのフィールドでもさまざまな課題があると思いますが、私に与えられたのは「世代間ギャップと若手の離職」というテーマ。獣医師会の年次大会ということで、様々な職域がある中で、どのようにお話ししようかなと考えていましたが、このテーマ自体は、動物業界だけが感じてることではなく、どの業界でも取り上げられていることだと思い、日本における若手の離職と世代間ギャップについての概要をお話ししました。短い時間だったので、具体的な解決策まではお伝えできなかったと感じていますが、それでも考えるきっかけになったのではないかと思っています。
休憩時間には、産業動物や公務員の方から「自身のモチベーションのあげ方、やりがいの見つけかた」などのご質問を受け、どの職域に限らずキャリア支援における根幹の部分は変わらないなと実感しました。
キャリアの選択肢を広げる
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シンポジウムの最後には、フロアーから様々な質問がありました。
フリーランスとしての働きかたにおける獣医師会のサポート、獣医師の研修制度など、現在抱えている課題に対しての質問も興味深かったです。
その中で、「アンケートの結果から、その職域、職場が合わなければ離職転職しても、この業界に留まっているのであれば、この業界と個人にとってはWINWINの関係であり、離職が悪いことのように捉えられることはどうなのか」というようなご質問がありました。記憶の中で多少言葉に違いがあるかもしれませんが、私の記憶の中の理解とご容赦ください。
たしかに獣医師は、臨床現場だけでなく、研究、教育、企業、公務員での活動など、さまざまな分野で活躍できる可能性を秘めています。その中で、私の脳裏に浮かんだことは「獣医師が仕事として選び続ける業界であるのか」ということでした。
「獣医師の就業環境に関する現況調査(2024)報告」では、約7割の回答が公務員関係の方であったというところはありますが、給与が低いと感じている方も多いという結果でした。昨今の離職データを見ると、やりがいやモチベーションではなく、生きていくために良い条件を選ぶ傾向は強く現れていると思います。
早期離職の原因は様々ありますが、上位項目は働く環境とキャリア形成に分類されていると思われます。大企業では物価高に合わせた賃金の引き上げ、初任給が35万になるというニュースも見る中では、獣医師という資格を用いて働くという選択肢がなくなることも視野に入れながら、様々な取り組みを試みることが必要ある
と感じました。
今後動物業界が明るい未来ある場となるためには、獣医師会の取り組みの重要性が増してくることを再認識いたしました。女性獣医師応援ポータルサイトなど、日本獣医師会で取り組まれていることも、認知度が上がることで業界を動かす力になればと、多くの方に触れ合う中で感じた参加となりました。
様々な見解や意見、視点を聞くことで、今まで見てていたものの視野が広がったり、見え方が変わることを実感しました。
まとめ
Conclusion
「すべての獣医師が活躍できる未来ある職場づくり」というテーマは、私がこれからも取り組んでいきたいライフワークの一つです。この講演が、業界全体の変革に向けた小さな一歩になれば幸いです。そして、一人でも多くの獣医師が自分のキャリアに誇りと希望を持てるよう、今後も尽力してまいります。
多くの気付きと学びをいただいたことに感謝です❤︎